公立の通信制高校は全日制高校に比べると学費が安いのがメリットです。
しかし、一方で私立通信制高校の平均学費は420,426円(弊社調べ)と公立の通信制高校と比べ高額なため、入学を諦めざるを得ない生徒もいます。
せっかく自校に興味を持ってくれた生徒がいるのに、費用面で入学を断念されてしまうのは学校側にとっても非常にもったいないことです。
制度を活用することは、生徒・保護者にとってはもちろん学校側にも生徒集客上のメリットがあります。
「生徒や保護者から質問を受けても、なんて説明したらよいかわからない」といった学校関係者の方の参考になる内容をまとめているので、お役立てください。
学費支援制度が通信制高校にもたらすメリット
就学支援金の制度は、経済的な理由による進学断念を防ぐことができるというメリットがあります。
制度の活用は、学校側にとってもメリットが大きいということを再度認識した上で、これから解説するポイントを押さえておきましょう。
学生が進学を断念するのを防げる
生徒が就学支援金制度を利用する学校側のメリットとして、学費が高いという理由によって学生が進学を諦めるのを防ぐことができることが挙げられます。
就学支援金によって学費面の負担を軽減できれば、入学者数の増加や経済的理由による中退の減少が期待できます。
また、これまで入学を断念していた層にもアプローチが可能になります。
特にこれから少子化が加速していくことを考えると、家庭の経済状況に関わらず、幅広い層を受け入れていくことが重要でしょう。
入学者数を増加させるためには、学校側も学生に学費が原因で入学を断念させない努力が必要です。
通信制高校の学費支援制度
通信制高校の生徒が利用できる学費の支援制度としては以下があります。
どの制度も基本的には、経済的な事情で高等学校への就学が困難な家庭を支援することを目的とした制度です。
- 高等学校等就学支援金
- 高校生等奨学給付金
- 地方自治体の奨学金制度
- その他民間の奨学金制度
一つひとつ見ていきましょう。
高等学校就学支援金制度
高等学校等就学支援金制度(以下就学支援金と表記)は、高等学校に通う生徒が対象で、経済的に子供を高等学校へ通わせることが負担になる家庭の支援を目的としています。
前提として、この就学支援金は国から都道府県を経由して直接学校へと支給されます。
国が生徒の授業料を補填して、学校に支払いをしてくれるということです。
つまり、国が保護者に代わって授業料を負担してくれる制度なので、学校側が損をすることはありません。
公立も私立もどちらも対象なので、特に学費が高いことを敬遠されがちな私立高校の場合は、就学支援金の制度を紹介することで入学者を増やせる可能性があります。
この制度の対象となる家庭は、生徒は公立の通信制高校の授業料は一律無償化、私立の通信制高校に関して授業料を実施無料にできる世帯もあります。(2020年4月の改正以降)
また、高等学校等就学支援金制度は、生徒が返還する必要はありません。
それもあり、全国の約8割の生徒がこの高等学校等就学支援金制度を活用していると言われています。
就学支援金制度の対象となる家庭
通信制高校で就学支援金の援助対象になる生徒は、以下に該当する方です。
- 保護者の年収が910万円未満
- 高等学校等に在学中(卒業、修了している人は対象外)
- 在学期間が48ヶ月未満
- 年間30単位まで
- 最大74単位まで
通信制高校の就学支援金の支給額
通信制高校は単位制の学校が多いので、就学支援金も1単位ごとに支給されます。
実際に支給される金額の目安は以下の通りです。
公立通信制高校の授業料は地域にもよりますが、1単位あたり175~700円が相場です。
そのうち、上の表のように1単位あたり年額336円の支援金が出れば、ほとんどの公立通信制高校の授業料は実質的に無料になります。
一方で、私立の通信制高校は、保護者の課税所得に応じて支給額が異なります。
保護者の世帯年収 | 就学支援金支給額 |
約590万円未満 | 最大12,030円/1単位 |
約590万円~910万円未満 | 最大4,812円/1単位 |
910万円以上 | 支給なし |
とはいえ、保護者年収が約590万円未満の世帯の場合は、1単位あたり12,030円が支給されるので、ほとんどの私立通信制高校の授業料も実質無償化されるケースが多いです。
ただし、年収590万円を超える世帯は、差額分は自己負担をすることになります。
それでも、年間30単位までは1単位あたり4812円の支援を受けられ、年間144,360円を目安として支給してもらえるので、生徒や保護者の負担は大幅に軽減されます。
私立通信制高校の学費構成
— 小谷良太@通信制高校研究家|(株)GoodWeather代表 (@ippecoppe_blog) May 10, 2022
▼よくあるパターン
授業料:24万円(1単位8000円)
教育関連諸費:10万円
合計:34万円
▼推奨したい学費構成
授業料:36万円(1単位12000円)
教育関連諸費:0円
合計:34万円
全ての通信制高校は
後者の学費構成を実施しない理由ないと思うんだけどな…
理由は以下に続く
高校生等奨学給付金
高校生等奨学給付金制度は国が資金を補助しながら、都道府県が運営している支援制度です。
そのため、奨学金の規定等は自治体によって異なるので、生徒が住んでいる地域の自治体に尋ねるよう伝えましょう。
制度自体は授業料以外の「教育費」を補助するものとなっているので、高校生等奨学給付金は授業料に使うことができないのも特徴です。
以下のような授業料以外の諸費用に使うことができます。
- 教科書代
- 各種教材費
- 学用品
- 通学用品
- 教科外活動費
- 生徒会費
- PTA会費
- 修学旅行費用
高校生等奨学給付金制度の対象となる人
高校生等奨学給付金制度は、以下の条件を満たす世帯が対象です。
就学支援金と比較すると、対象となる家庭はやや限定的なことがわかるでしょう。
・非課税世帯(生活保護世帯を含む)であること
・保護者(親権者)がその自治体内に住所を有する
・生徒が高等学校等に在学している
・高等学校等就学支援金を受ける資格を有している(特別支援学校高等部の生徒を除く)
※住民税非課税世帯とは、255万円以下の世帯のこと
高校生等奨学給付金の支給額
高校生等奨学給付金制度で支給される金額は世帯収入によって異なります。
支給額の一例としては、以下のようなモデルケースがあります。
○生活保護受給世帯【通信制】
- 国立・公立高等学校等に在学する者:年額3万2,300円
- 私立高等学校等に在学する者:年額5万2,600円
○非課税世帯【通信制】
- 国立・公立高等学校等に在学する者:年額5万500円
- 私立高等学校等に在学する者:年額5万2,100円
その他の奨学金制度
ここまでは、国や都道府県が提供する学費の支援制度について見てきました。
ここからは、通信制高校でも使える奨学金制度について解説をします。
奨学金には、給付型と貸与型があります。
例えば、就学支援金は生徒に返還の必要はないので、給付型です。
一方、貸与型の場合は返還の義務が生じます。
貸与型の奨学金の場合は、実質借金をしている事になり、社会問題にもなっています。
利子の有無も含め、生徒や保護者に正しく理解をしてもらった上で、借り入れをする必要があるでしょう。
地方自治体の奨学金
都道府県が実施する奨学金制度は、貸与型が多いです。
つまり、学費の返還をしなければなりませんが、利子はつかないのがメリットです。
例えば、神奈川県の奨学金の場合は以下が要件となっています。
- 将来返還が必要(無利息)
- 生徒又は保護者の県内在住要件あり
- 保護者の年収要件あり(年収約910万円未満)
- 連帯保証人が原則2名必要
生徒には、住んでいる地域の自治体に確認するように伝えるのがベストです。
民間の奨学金
「交通遺児育英会」や「あしなが育英会」などが運営する民間の奨学金制度もあります。
貸与型、給付型どちらのパターンもあるようです。
こちらも所得などの条件設定は、運営団体によるので個別に確認が必要です。
学校独自の奨学金
通信制高校によっては、学校独自の奨学金制度を用意している学校があります。
これに関しては、条件規定は実施校によって異なりますし、奨学金制度がない学校もあるので、生徒や保護者が学校に問い合わせるか、学校側から生徒に周知していく必要があります。
まとめ
就学支援金制度と高校生等奨学給付金制について解説をしてきましたが、いかがでしょうか。
大切なのは、学校側が制度をしっかりと理解し、保護者や生徒に説明できるように備えておくことです。
そうすれば、「学費が高いために入学を断念する」という生徒を減らすことができるので、学校にとってもメリットがあります。
特に私立の通信制高校の場合、就学支援金を利用する家庭は多いはずです。
せっかく学校に魅力を感じてもらえているにもかかわらず、学費が高いために入学を断念されてしまうのは学校側にとっても生徒側にとっても残念なことです。
そうならないためにも支援制度への知見を深め、必要な家庭に支援を届けられるように準備しておきましょう。
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