パンデミックによるオンライン化に伴い、学校説明会の開催手法としてウェビナーが注目されています。
これから学校見学・説明会のオンライン化に積極的に取り組みたいと考えているご担当者の方も、多いのではないでしょうか。
本記事では、事前準備から集客、当日の運営フローまで、ウェビナーを成功させるために必要な段取りについて、進め方を解説しています。
「オンラインでの開催を行うには、何から手をつけたらいいかわからない」「ウェビナー運営の流れを知りたい」などの課題を解決するヒントとなれば幸いです。
目次
ウェビナーのメリット
オフラインの学校説明会と比較すると、ウェビナーには次のようなメリットが挙げられます。
- 地域、時間の制約がなくなり、これまでは参加が難しかった人に参加してもらうことが可能
- 気軽に参加できるため、より多くの人に見てもらうことが可能
配信形式別のウェビナー形式
ウェビナーは、3つの配信形式に分類することができます。分類は次のとおりです。
それぞれメリット・デメリットを踏まえ、自校や担当者にとって負担にならない方法を選びましょう。
概要 | メリット | デメリット | |
リアルタイム配信 | 生配信 | ・質疑応答などで、参加者とインタラクティブなイベント設計ができる | ・配信トラブルが発生する |
アーカイブ配信 | 収録した映像を配布 | ・配信トラブルが発生しない ・コンテンツを使い回せる | ・登壇者の熱量が上がりにくく、臨場感が低減 ・インタラクティブなイベント設計ができない ・リアルタイムに比べ、閲覧時間が短くなる傾向がある |
リアルタイム風 アーカイブ配信 | 収録した映像を特定の時間に配信。質疑応答だけ、リアルタイム対応の場合も。 | ・配信トラブルが発生しない | ・登壇者の熱量が上がりにくく、臨場感が低減 |
ウェビナーの事前準備
ウェビナーを開催するにあたって、必要な準備を順に説明していきます。また、本記事では、60〜90分程度のウェビナーを想定しています。
ウェビナー開催までの準備期間としては、概ね3週間程度が想定されます。
開催までに準備しておくべきこととしては、以下が挙げられます。
- 講演内容を企画する
- 共催先と連携する
- 申し込みページを作成する
- 講演資料を作成する
- 参加者アンケートを作成する
- 配信ツールはZoomウェビナーを利用する
- バーチャル背景を作成・設定する
- 必要な機材を揃え、配信環境を構築する
講演内容を企画する
最初は参加者に何を伝えるのか(テーマ)のみを決め、細かい構成や資料作成は、参加者を集めながら、作成していきましょう。
企画段階で特に気をつけるポイントは次のとおりです。
- テーマは「自分たちが伝えたいこと」ではなく、「参加者が知りたいこと」になっているか
- 参加してくれる生徒・保護者に役立つ内容が盛り込めているか
- 競合校のオンライン学校説明会と日程が重なっていないか
- (共催セミナーの場合)共催先にメリットはあるか
もし、合同説明会など他校や他企業と共同で開催する場合は、企画の解像度が高まった段階で共催先に企画を持ち込み、登壇の打診をしましょう。
いくら集客施策を実施しても、肝心のコンテンツに魅力がなければ、参加者は集まりません。
参加者が気になるコンテンツの内容、タイトルを企画することが重要です。
ウェビナーを成功させるためにもまずは、顧客解像度を上げ、興味を持ってもらえるコンテンツづくりから始めましょう。
また、参加者の興味を惹くコンテンツを作るという意味では「専門家に登壇してもらう」ことも重要です。
例えば、ターゲットの界隈で認知度が高い人や多くのユーザーに支持されているインフルエンサーに登壇してもらえれば、集客を増やすことにつながります。
「〇〇さんは聞いたことがあるので、参加してみようかな」など、知名度が高い人の出演を理由に参加者が増えるケースがあるので、訴求力の高いインフルエンサーに登壇の依頼をすることは有効だと言えます。
共催先と連携する
他社と共同でウェビナーを開催する場合、共催先との情報連携を怠らないようにしましょう。
合意をとる必要がある項目は、次のとおりです。
・当日のプログラム
・各タスクの分担とスケジュール
- 申し込みフォームの作成
- アンケートの作成
- ミーティングルームのURLの準備
- 告知方法
- 当日の進行
・申込期限
・集客目標
・アンケートの内容
申し込みページを作成する
企画内容が決定し、校内で合意がとれたら、次はイベントページへの申し込みページの作成です。
イベント申し込みページのファーストビューには、次の項目を入れましょう。
- アイキャッチ画像
- タイトル
- 開催日時
- 登壇者情報
- 参加申し込みCTA
- SNSのシェアボタン
申し込みフォームの項目は、参加者属性(氏名・学年・電話番号・メールアドレス)と事前質問のみにします。離脱を防ぐために最低限の情報にしましょう。
また、ウェビナーへの参加を迷っているユーザーに向けて、学校案内資料の請求への動線も用意しておきましょう。申し込みページへ到達したものの、説明会に申し込まなかったユーザーに対しても、他のコンテンツを提供できます。
さらに、ページ内には参加者が当日の内容をイメージしやすいように、タイムテーブル、アジェンダは詳細に記載しておきましょう。
事前に想定されるQ&Aも、「よくある質問」として記載しておきましょう。
具体的には以下のような質問が多いため、事前に記載しておくと、ウェビナーに対する質問の問い合わせが減り、運営の人的リソースを低減することができます。
- 視聴用URLの共有タイミング
- 配布資料の送付タイミング
- 申し込みの締め切り
- 参加者のビデオと音声の有無
講演資料を作成する
ウェビナー開催の1週間前くらいまでには、ウェビナーの講演資料を作成しておきましょう。
資料やスライドを作成の際に注意すべきことは以下の通りです。
- 文字は大きめ
- 情報量は最低限
- 図を積極的に活用
生徒や保護者は、スマホやタブレットなどの小さいディスプレイで閲覧する可能性があります。
それも踏まえ、文字は大きめ、文字数は少なめにし、図解を用いた視覚的なわかりやすさを重視しましょう。
参加者アンケートを作成する
参加者にアンケートを実施する場合は、ウェビナー開催の1週間前までに作成しておきましょう。
参加してくれた生徒や保護者にアンケートをとり、自校のデータとして蓄積することができれば、今後の施策やアプローチを考える際に役立てることができます。
配信ツールについて
ウェビナー・オンラインイベントで使用する配信ツールとしては以下が挙げられます。
一般的にウェビナーやオンラインイベントで使われることが多いのは、YouTube LiveとZoom(ウェビナー機能)です。
例えば、Zoom(ウェビナー機能)であれば、配信中のQ&A機能やチャット機能、参加者に対してのフォローアップメールの設定、ミーティングルーム退出後のアンケートページヘの誘導ができるので、運営側をアシストしてくれる機能が活用できそうです。
一方で、視聴者・登壇者ともにアプリケーションのダウンロードが必要なので、利用経験のない学生や保護者を呼び込む際には、参加者の離脱を招くリスクも孕んでいます。
その点は、幅広い年代に利用されているYouTube Liveに軍配が上がると言えます。
バーチャル背景を作成・設定する
家から配信する場合は、生活感が出てしまったり、校舎から配信する場合は周囲の風景など、いろいろ映ってしまったりすることもあるので、バーチャル背景の設定は必須です。
Zoomが提供しているデフォルトのバーチャル背景でもいいですが、可能であれば、自校独自のバーチャル背景を作成しましょう。
例えば、学校の外観や教室の風景などを設定するのも良いでしょう。
また、見逃しやすいポイントとして、バーチャル背景を設定する際は、背景と同化しないよう当日の服装に気をつけてください。
必要な機材を揃え、配信環境を構築する
ユーザーのウェビナー体験を向上させるために、揃えたい機材を紹介します。
実際のところ、内蔵マイクとインカメラがあるPCであれは追加の機材は不要ですが、
- 音質が悪い(ex.雑音が入るなど)
- 画質が悪い
- 画面が暗い(ex.登壇者の表情が見えづらい)
などの理由で、参加者にストレスを感じさせると、途中で離脱されてしまう恐れもあります。
可能であれば、以下の機材は用意しておくことをおすすめします。
- 会議用の外付けマイク、もしくはヘッドセット
- 外付けの広角Webカメラ
- リングライト
また、安定した動作のために回線速度も重要です。
回線速度が遅い場合、すぐに改善するのは難しいかもしれませんが、ちょっとした工夫で回線問題は改善できる場合もあります。
- 速いルーターに変える
- PCのメモリ圧迫を防ぐため、他のアプリケーションは閉じる
- (自宅からの配信の場合)回線圧迫を防ぐため、家族に動画やSNSのWi-Fi使用を控えてもらうようお願いする
ウェビナーの途中で通信が不安定になったり、切れてしまうなどの予期せぬ配信トラブルが起こらないように通信環境には十分注意しましょう。
リハーサルを行う
校内でのリハーサルは必ず行うようにしましょう。
もし、ウェビナー実施の経験が少ない場合は、予期せぬトラブル発生時に臨機応変に対処するため、当日までに2、3回のリハーサルを行うことをおすすめします。
リハーサルでは、以下の点を確認しておきます。
- 登壇者と運営スタッフで大まかなフロー確認
- 社内の数人に見てもらい参加者視点のフィードバックを得る
- 最終的なフロー確認
リハーサルを行うことで、どうしても進行が詰まってしまう箇所を見つけることができます。
構成の改善すべき箇所を見つけ、当日滞りなくウェビナーを実施できるよう準備をしておきましょう。
ウェビナーの実施当日の運営フロー
ここまでは準備やリハーサルの流れを説明しました。
ここからは開催当日の運営の参考になるよう、当日に気をつけるべきポイントを解説します。
開場前に最終確認をする
開場の15分ほど前から、ウェビナーの会場となる配信コンテンツを開き、登壇者とスタッフで音声とPC操作の最終確認を行います。
その際、許可するまで参加者がミーティングルームに入れず、ホストと登壇者のみ入室できる機能をオンにしておくことも忘れないようにしましょう。
ウェビナーの本番
ウェビナーは大きく分けて3つのパートで構成されています。
- 導入
- 講演
- 質疑応答
登壇者と運営スタッフはチャットツールなど随時で連携を取るようにしましょう。
スタッフ側は次の点について確認し、登壇者へ指示を出します。
- 時間配分は問題ないか
- 話すスピードは聞き取りやすいか
- 聞き取りやすい声量か
- 共有画面は正しいか
講演を開始したら、運営スタッフはチャットで次のようなアナウンスを行いましょう。
・お礼メッセージ
「お忙しい中、本日はウェビナーへご参加いただき誠にありがとうございます。声が小さい、話すスピ ードが速い、などご不便な点ございましたら、チャットよりお気軽にお申し付けください」
・タイムテーブル
続いて、質疑応答前とウェビナー終了のタイミングでは、アンケートについてアナウンスを行います。
・アンケートのリンクをチャットに投下
回答者がアンケートに答えなければいけない理由(アンケートに答えると特典があるなど)をつくることで、回答率を上げることも可能です。
参加者の意見やデータが得られれば、今後の学校運営にとって役立つデータとして蓄積できます。
まずは回答率50〜60%を目指しましょう。
登壇者が講演の際に気をつけるべきポイント
講演の際に気をつけるべきポイントは、以下の通りです。
- 通知をすべて消す
- タブをすべて閉じる
- (校内や自宅で配信している場合)周囲に協力してもらい、雑音や話し声が入らないよう調整する
講演は、登壇者・参加者両者の集中力を途切れさせないためにも、他アプリケーションの通知をオフにし、作業中のブラウザのタブ・アプリケーションなどを閉じてPCを整理してください。
また、校内から配信している場合、もし可能であれば、講演中は雑音や話し声などノイズが入らないように協力を仰ぎましょう。
まとめ
今回は、ウェビナーの事前準備から集客、当日の運営フローまで、ウェビナーを成功させるために必要な段取りについて、進め方を解説しました。
学校説明会の開催方法は、オフラインからオンラインにシフトしている傾向があります。
オンライン化は、長期的に見ると全国を対象に集客ができ、入学者増加につなげることができるというメリットもあります。
慣れないうちは運営に不安や心配も生じるかと思いますので、本記事を参考に時代に合わせた施策を展開してみてはいかがでしょうか。
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